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雇用調整助成金の概要

雇用調整助成金とは

新型コロナウイルス感染症の
影響を受けるなどして、
事業活動の縮小を余儀なくされている
事業主であって、
従業員の雇用を維持する取り組みを
行うことにより、
具体的には、生産指標(売上高等)が
下がっていて、休業中の従業員に
休業手当を支給している者に対して、
支払った休業手当や教育訓練期間の
支払いに対して助成を行う制度です。
 

支給額は?

前年度の雇用保険加入者に支払った
給与総額を雇用保険加入総数で割って、
算出される1人当たりの平均額に
休業手当の支給割合
(平均賃金の60%以上)を
掛けて算出された金額の2/3です。
 
今回は特例により、
緊急対応期間
(令和2年4月1日~6月30日)
における休業に限っては、
この助成率が4/5に拡大され、
さらに1月24日以降
それぞれの賃金締切期間
(判定基礎期間)までの間に
解雇等がなされていないこと。
 
また、賃金締切期間(判定基礎期間)の
末日の事業所労働者数が、
比較期間(1月24日から
判定基礎期間の末日まで)の
月平均事業所労働者数と比較して
4/5以上であれば、9/10の助成率に拡充されます。
※1人1日当たり8,330円が上限となります。
 

 

1月24日以降の休業で緩和された要件

1.雇用量増加要件の撤廃
 
最近3か月の雇用保険の被保険者数が
前年より増加していても
雇用調整助成金の対象となります。
 
2.事業所設置後1年以上経過要件が撤廃
 
売り上げ減少の比較は、
令和1年12月と計画届を提出する月の前月を
比較することとされたため、
1月24日時点で、事業所設置後1年以上
経過している必要はなくなりました。
 
3.計画届の後出し提出が可能
 
通常は、休業の計画届を
実際に休業を実施する前に提出する
必要がありますが、
既に実施している休業に関して、
6月30日までに計画届を
提出すればokとなりました。
 

 
4.残業相殺の停止
 
事業所稼働日と休業日がある場合に、
休業日の遅れを取り戻そうと
稼働日に残業をした場合には、
その残業分について差し引いて支給
(相殺)されますが、
この要件が当面の間停止されました。
 
5.被保険者期間6か月以上要件の撤廃
 
雇用調整助成金の対象労働者として、
雇用保険の被保険者期間が6か月以上
ある方とされていましたが、
この要件が撤廃されたために、
新卒入社の従業員や雇用保険の被保険者期間が
6か月未満の中途入社の方も対象となります。
 
6.短時間休業時における一斉休業の緩和
 
全日休業ではなく、短時間休業の場合は、
一斉に休業する必要がありましたが、
・立地が独立した部門ごとの一斉短時間休業
・常時配置が必要な者を除いての短時間休業
・同じ勤務シフトの労働者が同じ時間帯に行う
 短時間休業
なども雇用調整助成金の短時間休業として
認められる緩和措置が取られています。
つまり、短時間休業のローテーションが
可能になったということです。
 

4月1日以降の休業で緩和された要件

1.支給割合の拡充
 
前述したように、
助成金の支給割合が2/3から4/5に
さらに解雇等がなく、
事業所労働者数が4/5以上であれば、
9/10になりました。
 
2.生産指標要件の緩和
 
生産指標の確認は提出があった月の前月と
対前年同月比で10%の減少が必要でしたが、
対象期間の初日が緊急対応期間中の
令和2年4月1日から令和2年6月30日までの間は、
これを5%減少で良いこととされ、
生産指標の確認期間についても
3か月から1か月に短縮されています。
 
3.雇用保険被保険者以外の従業員も対象
 
3月31日までは、雇用保険被保険者のみが
対象労働者でしたが、4月1日~6月30日までの
緊急対応期間においては、
雇用保険被保険者以外の週20時間未満の
労働者の方も対象労働者となります。
※受給額の算定方法が雇用保険被保険者の方とは
 異なるので注意が必要です。
(緊急雇用安定助成金と言います。)
 
4.支給限度日数の緩和
 
雇用調整助成金の支給限度日数は、
1年間に100日までとされていましたが、
緊急対応期間(4月1日~6月30日)中は、
この100日に含まれず別でカウントされます。
 
5.教育訓練加算の拡充
 
これまでは、1人1日当たり1,200円が
加算されていた教育訓練加算ですが、
緊急対応期間(4月1日~6月30日)中は、
1人1日当たり2,400円に拡充されます。
 
また、対面式ではなく、
遠隔でのビデオ受講など
Webシステムを使った訓練も対象とされ、
訓練の内容も管理職研修、
ハラスメント研修といった
コロナがなくても行う予定であった研修、
以前に受講した研修なども対象になります。
 
ざっと緩和された内容を記しましたが、
まずは、どのような形で休業をするのか
従業員の方々と話し合って理解を求め、
休業協定書を締結することが先決です。
 
手続きのことや書類作成に関して、
お困りごとがあれば、
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